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動物たち
2009/06/10(Wed) 06:26:51

※注 : ちょっと重い話題です。




ここに着いたばかりの頃、動物がいっぱいいて「動物園みたいで楽しいな~」と思っていた。


わたしはなにも知らず、ただのんきにそんなことを考えていた。




ここにいる動物たちのほとんどは、食べるために飼育されているのだ。



鳥が結構いろんな種類がいる。
ニワトリ、鳩、鴨、ガチョウ、七面鳥、ホロホロ鳥。

その他には、豚、うさぎ、羊。

純粋に飼われているのは、犬、猫、馬のみ。
馬は仕事に使うので、ただのペットとは言えないかも。



動物たちのことをブログに書かなければと思いつつも、頭の中がずっと混乱した状態で、何をどう書けばいいのか分からなかった。
今も気持ちに整理がついたわけではない。



わたしは「ペット」としてしか、動物と接したことがない。
ペットは愛でるためのものだ。
一緒に生活し、体調を心配し、長生きしてほしいと願い、死ねばどうしようもなく悲しい。
家族や友人と同然の存在。


じゃあ、食肉用に飼育されている動物は?
餌をやり、体調の心配はするけれど、それはすべて「いつか食べるため」にだ。
もしくは「だれかに食べさせるため」。
殺すことを前提とした存在だ。

わたしはここの動物たちにどう接していのか分からない。


今、いろんな動物の赤ちゃんがいる。
ここに来て間もない、なにも知らない頃は、赤ちゃんたちを見て「かわいい、かわいい」と喜んで連発していた。
写真をいっぱい撮ったりした。

もうそんなことはできない。
「かわいい」とは口にできない。
どんなに愛らしく、愛おしく思っても、その気持ちを押し殺すようになってしまった。


かわいいと思う感情は、ペットに対してだ。
ペットを食べることなんてできない。




そこまでして肉を食べたいのか?






ジュリオはベジタリアンだ。
十数年、肉を全く食べてないらしい。
それでも彼は頑健な体つきをしていて、毎日かなりの重労働をこなしている。

彼を見ていると、肉を食べなくてもちゃんと生きていけるのだと実感する。


じゃあ何故人間はわざわざ他の生き物の命を奪ってまで肉を食べるのか。
肉を食べる必要性はどこにあるのか。


ジュリオは動物を育て、自身の手で絞める。
そんな彼が肉を食べない。
それなのに、わたしは食べる。

わたしはここで、自家製のソーセージを食べた。
七面鳥を食べた。
ハトを食べた。

わたしが食べたハトは、わたしがここに滞在してから絞められたもので、きっとわたしはその鳩が生きているところを見ていただろう。
それを分かっていて食べた。
ジュリオがハトを捌くところを見ていた。



毎日、肉を食べることと、動物たちの命について考えている。
なにをどう考えていいのかも分からないけれど、考える。
答えは出ない。
きっと、ずっと答えを見つけることは出来ないだろう。
考えてもしょうがないのかもしれない。
別に考えなくてもいいことなのかもしれない。

それでも、動物たちを目の前にすれば考えずにはいられない。





ただひとつだけ、明確に分かったことがある。
それは、わたしはこの先も肉を食べ続けていくだろうということ。

ジュリオが食べないのにわたしがここで肉を食べるのはおかしいんじゃないのか、と思ったことがある。
どこかに罪悪感みたいなものがあって、せめてここにいる間はわたしも肉を断つべきではないかと思った。
この先もベジタリアンとして生きていけるならその方がいいんじゃないかと考えた。

でも自分の性格からして、一生肉を断つことなんてできないと分かっている。
わたしは誘惑に弱い。
わたしは好奇心が強すぎる。
食べたことのない料理を目にすれば、必ず手を出すだろう。


いつか食べると分かっているのなら、ここで食べなくても意味がない。
それは罪悪感から逃れたいだけにすぎない。
綺麗事は言いたくない。
問題から目を逸らしてなかったことにするぐらいなら、動物に向き合い、それでも肉を食べていくことを選択する。





いつか、自分なりのちゃんとした答えを出して、ベジタリアンになる日が来るかもしれない。
来ないかもしれない。


ずっとずっと考え続けていく。

「いつか食べるために飼育している動物」と生活したことを忘れることはないだろう。
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