とかかっこつけたタイトルをつけてみたけど。
今の滞在地に来てひとつ驚いたことがあった。
「アルケミスト 夢を旅した少年」という、世界的にベストセラーになっている本がある。
わたしはその本を、日本を出発する前に友人まいこ―から贈られた。
彼女はその本が大好きで、古本屋で見つけるたびに購入して誰かにあげているらしい。
内容は、一人の羊飼いの少年が夢で見た宝物を探しに、前兆に従いながら旅をするという話。
なんとも運命的でファンタジックな話なんだけど、人生を歩むうえでとても大切な忘れてはいけないことが描かれている本当に素敵な話だった。
世界中で愛されてるのがよくわかる。
そして旅人なまいこーがこの本を好きなのもとっても納得。
わたしはもらった本を日本では読まず、フランスに持ってきていた。
そして前回のストラスブール滞在中に読み終えた。
その後、今のところに移動することが決まり、それまで家に滞在させてもらっていたAが「要らないものがあるなら置いていっていいよ」と言ってくれたので、荷物を減らすことにした。
持ってきたけど難しすぎて使わないだろう参考書や書類やなんか、そして読み終わった小説。
一瞬わたしは、話が話なだけに「アルケミスト」は持っていこうかと思ったけど、少しでも軽量化したい欲求に負けて置いていくことを決意した。(ごめんよ、まいこー)
わたしが今滞在している部屋には本棚があって、そんなに多くはないけど何冊かの本が置いてある。
たぶんファミリーのもので、だからオランダ語表記のものが多く、一見したところわたしに理解できる本はないように見える。
ここに来た初日になんとなくそれを確認して、わたしは本棚にはたいして興味を向けなかった。
が。
数日後に、本当にぼんやりと見るともなしに本棚を眺めていた。
一冊の本に目がとまった。
なんでその本に注目したのか分からない。
タイトルが「L’」で始まっていたからフランス語の本だってわかったからかもしれない。
でもわたしが最初に注目していたのは、作者の名前だった。
「Paulo Coelho」
わたしはそれを「ポゥロ コエーロ」と読んだ。
変な名前だなと思いつつもなんか引っかかりを覚えて、そしてタイトルに目を向けた。
「 L'Alchimiste」
「ら・る・し・み・す・と?」と頭の中で読んで、突然ハッとなった。
なんと、フランス語版「アルケミスト」だった!!
ストラスブールに置いてきたはずの本が目の前にる!!
本当にびっくりして、しばらく茫然としてしまった。
もちろんわたしがまいこ―にもらったのは日本語で書かれてるもので、同じものではない。
でも「なんでここに…」と思わずにはいられなかった。
それが、Aさんがここを旅立つ日の朝のこと。
あまりの偶然にびっくりしたのでその話をAさんにしたところ、本に興味を持ったAさんはその本と共に旅立っていった。
なんという運命…。
そんな大げさなことでもないんじゃない?と思うかもしれない。
他の本だったら、ここまで思わなかっただろう。
でもそれが「アルケミスト」という運命について描かれた本だったから…。
もしその本がオランダ語表記だったら気付かなかっただろう。
フランスとはいえ、オランダ人ファミリーの家にある数少ないフランス語の本の一つが「アルケミスト」で。
誰かが旅立つ日にそれを発見した。
なんかすごく大きな意味をもつような気がする。
なんて、やっぱり大げさかな?
でも「アルケミスト」を読んだことがある人なら「すごい!」って思ってもらえるんじゃないだろうか。
ね、まいこー?
「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」
「前兆に従うこと」
これは「アルケミスト」に書かれている言葉で。
フランスに行こうと思って、実際にそのために動き出してからわたしは、不思議とフランスに関係がある人と出会うことが多くなった。
バイト先のオーナーの娘さんの恋人がフランス人で、娘さんもフランスで生活してるとか。
派遣でたまたま行ったところのおばさんの娘が、これまたフランス人と結婚してフランスに住んでるとか。
しかも2人娘で2人とも。
日本で最後に働いたところの上司が、フランスではないけど以前ドイツで働いていて、フランスにもよく旅行していたとか。
そんなことがあったもんで、「アルケミスト」を読んだとき「そういう事ってあるんだな」と強く共感した。
わたしはそういうフランスに関係ある人と出会うたびに、「行ってもいいのかな?きっと今行くべきなんだよな」と思えて、なんだか嬉しかった。
今は手元にないけれど、ここで「アルケミスト」に出会ったということは、きっと何か大きな意味があるに違いない!とか思っちゃったりします。
ま、たとえ運命があったとしてもそれがどうなるかは自分次第なんだよね。
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